スタッフブログ

HOMEブログ【相続コラム 2017.11】司法書士藤井真司事務所 発行

2017年11月6日

ブログ

【相続コラム 2017.11】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

こんにちは、司法書士の藤井です。日頃会えない皆さんお元気ですか。今年は夏がとても雨が多かったですね。そのせいか秋の清々しい晴れ間も9月や10月では少なく、秋も深まる10月下旬に台風まで来て散々な秋の空でした。11月の天候に期待したいです。一日の寒暖差が大きい秋ですし、天候も夏から不順なようですので、体調に気を付けてお過ごしください。
少し早目ですが、今年一年を振り返る中に、ちょっとでも自分の死後の様子を考えてみるのもいいかと思います。今の自分の状況から死後のことを考えてみると、忙しい中に落ち着く時間が生まれるかもしれません。

見出し
遺言がないと特に揉める例の一つとして、直系卑属がいない場合があります。いわば、子や孫の下の世代に相続されないと、次は上の世代である親や祖父母となり、多くの場合すでに他界されていることでしょうから、最後は横の世代である兄弟姉妹に引き継がれることになります。
今回のご相談者は、清水美穂子さん(仮名・80歳)もそのような事例でした。私が清水さんのご主人である純夫さん(仮名)から成年後見の相談を受けたのは平成10年でした。「自分たちには子供がなく、高齢の義母と同居しているが、相続の問題もあるので相談したい。」とのことでいた。それから毎月ご夫婦と面談を重ねて、最初にご主人の「財産管理契約」、「任意後見契約」「遺言」と徐々に”その時点で必要な支援”をしていました。その後、義母が亡くなり、そして純夫さんも亡くなりました。美穂子さんだけとなり、数年が経ったときに「そろそろ遺言を作りたいのです。なぜなら、主人が亡くなった時には、遺言があったので不仲の兄弟がいましたが、争いもなく相続できました。私の時も遺言を書くことで争いなく相続してほしいのです。」と申し出があったので、美穂子さんがお世話になった人に自分の財産を渡す内容が作られました。この時点で美穂子さんには「相続人」は存在せず、すべてが遺贈という形で相続が予定されていました(つまり、遺言がないと、全財産が国にもっていかれる事例となっていました)。
遺言作成後、数年後に美穂子さんも亡くなるのですが、亡くなる前は認知症で、笑顔は出るのですが、日常会話が出来ず、この時点の遺言作成は難しかったと思われます。美穂子さんが早めに遺言を作成していたことで、その後の遺言執行も無事に終えることが出来ました。
この例は、一見何でもないように感じられるかもしれませんが、「巧くいった事例」とは、このように何事もなかった事例になるのです。ご主人の相続の時に遺言がなかったら、不仲の兄弟と美穂子さんとの話し合いで上手くいったでしょうか。そして、美穂子さんの相続の時に遺言がなかったら、お世話になった方々に感謝を十分に伝えられたでしょうか。今月は、早めの遺言作成が多くのトラブルを避けることが出来るという一例としてご紹介させていただきました。

見出し
ここでちょっと豆知識