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2017年12月14日
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【相続コラム 2017.12】司法書士藤井真司事務所 発行
“光陰矢の如し”とはこのことだと一年のうちで一番感じる師走です。今月は、仕事も忙しくなりますが、忘年会やクリスマス、そして新年の準備と公私に渡って行事ごとが多くて、忙しさに拍車をかけますね。そんな中でゆっくり考える時間は無いのかもしれませんが、ほんのちょっとだけでも、立ち止まって考えてみませんか。まずは考える種を撒きましょう。それが、新年の頃に芽が出てくるかもしれません。その考える種とは、広い意味の「相続」のことです。漠然とでいいですから、考えてみませんか・・・世代を超えた未来のことを。
今回の相談者は、川野範子さん(仮名・63歳)です。範子さんの夫の和夫さん(仮名・享年66歳)は、半年前に亡くなったので、夫名義の土地建物について、その所有名義を妻である範子さんに変えてほしいとのことでした。そこで、相続人が誰になるか調べるために、範子さんに次のことを尋ねました。遺言書の有無、子供や親兄弟のこと等です。すると、遺言書はなく、子供がいないとのこと。ご両親もかなり前に亡くなっていて、ご兄弟関係を聞くと、3名の方がいるとのことでした。相続人は配偶者の範子さんとこの兄弟姉妹3名となります。そこで、自宅の名義を範子さんにするには、先ほどの相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。
私は、範子さんの依頼により、和夫さんの出生から死亡までの戸籍とご両親の出生から死亡までの戸籍及びご兄弟の戸籍を取り揃えました。すると、和夫さんの弟になる隆さん(仮名)の住所が分かりません。行方不明として戸籍の附票が消除されていたのです。この隆さんは、一度も結婚せず、かつ子供もいませんでした。他の兄弟や親戚に行方を聞いても全くわからないとのことでした。
範子さんには、相続人全員の協力が得られないと登記が出来ないことは事前に話していたので、義弟が行方不明と聞いて途方に暮れていました。そこで、私の方から提案したのが、失踪宣告の申立です。失踪宣告されると死亡したものとみなされるので、相続手続きを進めることが出来ることを説明しました。行方不明になってから7年以上が経っていることと範子さんが利害関係人になるので、家庭裁判所に対して失踪宣告の申し立てをしました。この失踪宣告の申し立てにより、失踪宣告されるまでの期間はおよそ8ヶ月かかります。その期間が過ぎると失踪宣告が確定し、裁判所より隆さんの本籍地の市町村に失踪宣告が通知されます。すると、隆さんの生存確認の日から7年後に死亡したものとみなされて、その記載がされました。
隆さんの死亡したとみなされた日は、和夫さんの死亡の日より前になり、隆さんは相続人から外れますので、現在の残っている兄弟2人と妻の範子さんで遺産分割協議して、自宅の名義を範子さんに変更しました。最初の相談の時より1年半の期間がかかりました。
もし、和夫さんが遺言書を遺していたら、こんな面倒で時間がかかる手続きをしなくて済んだ事例です。自分の親族状況を少し考慮すると、遺された大切な人が大変な思いをしなくて済みますので、是非ご一考下さい。
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