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2017年7月13日
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【相続コラム 2017.7】司法書士藤井真司事務所 発行
今年の夏は、猛暑と予想されていますが、どうなるんでしょうか。梅雨真っ盛りの6月の雨が少ないようですし、このまま7月も少雨だと水不足の予感・・・当たらなければいいのですが・・・福岡に長く住んでいると、はるか昔の水不足による断水の記憶が蘇ります。ただ、あまりにたくさんの雨が降ると、河川が氾濫したりして、いろんな被害が発生してしまいますので、適度に雨が降ってほしいものです。
まだ本格的な夏はやってきていませんが、今後はどんどん暑くなると思いますので、熱中症に気をつけてこの夏を乗り切りましょう。
今回の相談者は、本城豊さん(仮名・65歳)です。豊さんは半年前に妻である幸子さん(仮名・享年70歳)と死別しました。その時の幸子さん名義の不動産の事で、私の事務所を訪れたのです。
相談内容は、自宅の名義が豊さんと幸子さんの半分ずつの共有になっているので、これを豊さん一人の名義にしたいとのことで、豊さん以外の相続人はどなたになるのかと尋ねると、豊さんと幸子さん夫婦には、子供がいないとのこと。念のためご両親について尋ねると、幸子さんのご両親は10年以上前に亡くなっていて、幸子さんの兄弟姉妹が4人いるので、その方々が相続人とのことでした。もし、遺言書があれば・・・と思いましたが、それらしきものはないとのこと。そこで、豊さんに、幸子さんのご兄弟さんに協力して頂いて、不動産はすべて豊さんの名義にするという遺産分割協議書に署名捺印をしてもらうように話しました。その時、豊さんより、「実は、私と幸子が結婚するときに猛烈に反対した義弟がいて、今でもその義弟とは仲が悪く、犬猿の仲といってもいいくらい」で、よくよくお話を伺うと、ご兄弟の内で協力してくれそうな人はいそうにないとのことでした。それでも、一度は話をした方がいいのではないかと、豊さんは、遺産分割の話を義弟さんに持って行ったところ、案の定、法定相続分を要求され、さらに他に預金等の相続財産もあるのではないかとして、全く話し合いになりませんでした。それで、仕方なく家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることにしました。
その申し立てより2年後に豊さんから登記のご依頼があったので、後日談を聞いたところ、調停成立まで1年半かけて、不動産は豊さんが相続し、その対価として、兄弟に相続分に相当する金銭を支払ったとのことです。兄弟仲は悪いままで後味の悪い結末だったとのことでした。もし、幸子さんが、ご自身の相続人との関係や、兄弟間の不仲、或いは自宅が共有であることなどの事情を考えて、専門家にでも相談していたら、争わないでよかったことでしょう。
私たちは、相続の現場を多く見てきて思うのは、亡くなる方の意思をしっかりと残しておくことの大切さです。遺言書という、法律上一番強く守られる形がいいのですが、それでなくても、遺された人に対する想いを伝えることができると争い事はかなり少なくなるのではないかと確信しております。心当たりのある方は、是非専門家の門を叩いて、遺された方への想いを形にしませんか。
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