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2017年9月14日

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【相続コラム 2017.9】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

今年は、九州北部の福岡県では朝倉・東峰地区、大分県では日田地区で大雨での河川の氾濫による水害が発生し、多くの方が大変な被害に遭いました。この夏は日本全国で、大雨による水害が報道されています。一回に降る雨の量がとても多くなっているのが特徴の様で、大きな被害が出ているようです。特に私のいるところは朝倉・東峰地区が近いのですが、亡くなった方のご冥福を祈るとともに、被害に遭った方全員の一日も早い復旧・復興を願わずにはいられません。9月になって、夏の暑さも少しずつなくなっていくのでしょうが、まだまだ残暑厳しい日もありますので、体調には十分に気をつけてお過ごしください。

見出し
今回の相談者は、本田美佐子さん(仮名・70歳)です。美佐子さんの夫泰三さん(仮名・享年75歳)は、半年前に亡くなり、泰三さんの公正証書による遺言書を持ってこられて、それに基づいて自宅の土地と建物を美佐子さんの名義にしました。
美佐子さんは、この前に相談に一度訪れていらっしゃいます。それは何かというと・・・美佐子さんと泰三さんの間には子供がいません。そこで、ご主人にもしものことがあると遺産はどうなるのかということを知りたくて、私のところに相談しにいらっしゃいました。お話を詳しく聞いて、ご主人の亡き後の相続は、法定相続ならば美佐子さんが4分の3とご主人の兄弟が4分の1になることを説明しました。ご主人の兄弟は二人の弟さんがいるとのことですが、ご主人との仲が決して良いとは言えず、もし泰三さんの遺産の事で美佐子さんがこの弟さん達と話し合うことがとても不安でした。特に自宅については、ご主人と一緒に一生懸命働いて生涯の安住の地として買い求めたものであるので、もし自分のものにならなかったらと考えると夜も寝られないくらい不安とのことでした。私は、それであれば、泰三さんに公正証書による遺言書を書いてもらうと、兄弟姉妹相続には遺留分がないので、自宅も「美佐子さんに相続させる」とすれば、弟さん達の協力なしに遺言書のとおりになることを説明しました。すると安心した顔で、「主人に話してみます」と言って帰られました。
この度の相談の時に、あの日帰ってからのことを美佐子さんは話されました。帰ってから遺言書の作成をお願いしてみると、泰三さんは「そんなに早く俺に死んでもらいたいのか」と急に怒り出してしまい、美佐子さんは遺言書の話ももう出来なくなったと思い途方に暮れ、日々不安な毎日を過ごしていたそうです。それからおよそ1年後に、急に泰三さんが遺言書を作成すると言い出したのです。恐る恐るその訳を聞いてみると、泰三さんの友人が自分の親の相続で揉めていることと、遺言書があったら兄弟と争わずに手続きが出来たことを聞いたとのこと。それで前に美佐子さんが言っていたことを思い出して、遺言書の作成に前向きになれたとのことでした。
私たち専門家は遺言書の重要性を知っていますが、遺言者(この場合は泰三さん)の気持ちも十分に分かります。人は心の整理がつかないと前には進めないのです。是非、早めにご相談頂ければ不安な心を少しでも和らげることができると思います。

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