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2020年12月7日
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【相続コラム 2020.12】司法書士藤井真司事務所 発行
こんにちは。司法書士の藤井です。相変わらず新型コロナウイルス感染症の流行が続いているようでなかなかおさまりません。
来年は東京オリンピックという世界的に大きな大会が行われるにも関わらず、なかなか思うようにコントロールできていないようです。是非、オリンピックが開催され、成功裏に終わってくれることを祈るばかりです。とにかく、皆様におかれましては健康に留意して、この師走を乗り切っていただきたいと思います。
さて、年末には、自分自身の棚卸をかねて、「もしも」自分に何かあった時の残された家族について考えてみるのもいいかもしれません。日々に忙殺される中に、ふと足を止めて、自分のいなくなった後のことをちょっとだけでも考えてみませんか。
Aさんの2人の娘さんからご相談がありました。
「私達は3人兄姉で長男の兄と家族全員は兄の親不孝が原因で長い間、絶縁状態です。父は兄には他の兄姉と比べても今まで充分に学費を始め支援をしてきたので遺産の先渡しをしたので、今後の遺産を与える意思はなく、母が亡くなった今では姉と私に全て相続させると口では言いますが、具体的な行動は何もしていません。遺言を書かないと絶縁状態の兄も相続人となるので、何とか父に遺言を書いて貰いたいのです。」
面会の当日、ご紹介されてお目にかかった、Aさんは年齢は80歳でしたが、頭の回転が早く理解力もおありでした。ただ、娘さんから無理矢理勧められての私との面談になったので、冒頭は多少不機嫌でぶっきらぼうでした。
しかし、話すにつれ打ち解けて頂き、私の説明で遺言の必要性を再認識され、安心して遺言作成のご決心をされました。公正証書遺言の作成当日もお一人でお元気に公証役場までおいでになり、公証人との面接もしっかりとお答えになり、無事に遺言作成も終了して2人の娘さんからも感謝の言葉を頂きましたが、その後の出来事に私はヒヤリとさせられたのです。
遺言書作成の1週間後、娘さんから連絡を頂き、「父が遺言作成の時の記憶がないと話している。」との連絡を受けました。信じられない話です。面接をした公証人も「お年の割にしっかりしていらっしゃいますね。」と笑顔で感想を言っていたくらいに、面接時には実にしっかりと対応していたにもかかわらず、その時の記憶がお父様にはないというのです。
詳しく娘さんに、聞いてみると、1年くらい前から身辺のゴタゴタが起因してAさんは最近、ごくごく軽い認知症の初期段階と医者からは診断されていたと言います。判断能力的には影響がない程度でしたし、ストレスが引き金になっていたものの現在はその原因も解決しているとのことでした。
なので、この「記憶がない」ということも一時的に記憶がないだけで、後になったら思い出される事とは思いますが、私としては改めて遺言作成を早めにすることの大切さを痛感させられました。あれだけ明瞭な方でも認知症の進行は容赦をしない!遺言を作成する事は重要ではあり、潜在的に書く意思はあるけれど、緊急ではないこの行動は思い立った時に行動をし始めることが1番大切です。
確かに、遺す側と受け取る側の当事者同士だと巧く伝わらない事も多いと思いますが、そんな時には私達を活用してください。私達が説明をすることによって理解も深まり安心して遺言作成される方も多いのです。
遺言を書くに1番適切な時期は「思い立った、今です。」
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