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2020年5月11日

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【相続コラム 2020.5】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

皆様、元気にお過ごしでしょうか。まさに新型コロナウイルス拡大阻止をするための様々な対策で、色々とご苦労されていることと思います。当事務所でも三密(密集・密接・密閉)を避けて、かつテレワークも若干導入して業務を遂行しているところです。コロナ対策に意識高くして臨んでいるところですが、長引くと経済的な影響が大きくなるのは、どの業種も同じだと思います。自粛生活をきっちりすることしか、長引かないようにする手段はないように思いますので、皆さんと一緒に乗り越えていこうと思います。
時代が移り変わって行くことは、自然の中で生きている人もやがて死んで次の世代の人に移り変わること・・・その繋ぎ目が「相続」だと思います。何を遺し、そして何を遺さない(遺せない)かは、その人それぞれですが、これを機に相続について考えてみませんか。

 

見出し

今回は、遺言書があったことが、トラブルを回避した事例をお話ししたいと思います。鈴木健二さん(享年85歳・仮名)は、数年前に亡くなられ、それに伴う自宅の相続登記を、相続人であるその方の奥様、鈴木敬子さん(80歳・仮名)より依頼を受けました。敬子さんのご相談を聞いていると普通に配偶者及びその子供3人の相続でしたが、相談を進めていくうちに一つ困ったことがあると言われたのです。その事とは、長男一郎さんが、健二さんが亡くなる5年前に病気で亡くなっていました。その長男のお嫁さんとは、結婚当初から折り合いが悪く、長男が死んでから、幼い子供2人はお嫁さんの実家で育てているとのことです。法定相続では、亡くなった長男の子供2人は代襲相続人として相続権があります。そして、未成年なので親権者の長男のお嫁さんが代理することになるのです。今回の相続財産は自宅不動産のみで、預貯金はほんの少ししかありません。いわば、今、敬子さんが住んでいる自宅不動産は敬子さんの名義にして、預貯金も今後の生活の足しにするために敬子さんの名義、いわばすべての相続財産を妻である敬子さんに取得させる必要があったのです。敬子さんとその子供2人は、全部の財産を敬子さんがもらうことに異存はなかったのですが、代襲相続人の代理人である長男のお嫁さんが納得しないだろうと考えて、とても悩まれていました。
数日後、敬子さんより「主人が生前にメモ帳のように、それも切れ端に書いてある遺言書らしきものがある」と連絡があったので、早速見せてもらうことにしました。確かに、一般に考えられる遺言書というよりは、ルーズリーフの切れ端に、メモに近いもののようでしたが、内容は「全財産は妻敬子にあげる」と書いてあり、印鑑も押されていてちゃんとした遺言書の形式になっていました。私は、相続手続きに使えるだろうと考え、すぐに家庭裁判所の検認の手続きをしました。この時長男のお嫁さんが異議を申し立てないことを祈りながら・・・。この検認手続きは意外に何も問題なく手続きが完了し、この遺言書を使って、不動産を敬子さんの名義に変えました。もし、この遺言書がなかったら、亡長男の子供さん(実際はそのお嫁さん)との間で問題が起こっていた可能性が高かっただけに、各相続人が大変な思いをするところでした。
遺言書は、遺された人を救う場合があります。一度検討されるといいのではないでしょうか。その場合は是非専門家にご相談されることをお勧めします。

 

ここでちょっと豆知識