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2020年9月4日

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【相続コラム 2020.9】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

今年の夏は、梅雨が長く7月いっぱいまで続いたことで、8月が猛暑・酷暑になりました。9月の残暑も例年以上に厳しいようです。また、日本近海の海水温が高いとのことで台風の発生数も多くなっているようで、最近の大雨や台風被害を考えると、備えあれば憂いなしとの諺通り、災害に備えた準備が大切だと思う今日この頃です。新型コロナウイルス感染症の第二波も下火とのことですが、熱中症とのダブルパンチになっていることもあり、まだまだ残暑厳しい日が続きますので、健康管理には十分気を付けてお過ごしください。暑さ寒さも彼岸までといいますので、あと少しの我慢です。
こんな季節の移り変わりの中で、次の時代を考える「相続」に想いを馳せるのも秋の夜長の一興ではないでしょうか。

 

見出し

今度の事例は、遺言書を作ったのに、本人が亡くなった後、相続人全員で遺産分割協議をしてその遺言書を使わなかったことをお話ししたいと思います。

 

当事務所に相談に訪れた立花正英さん(62歳・仮名)は、その父親が生前に遺言書を公正証書で作成していましたが、内容については父親から教えてもらっていなかったので、父親が亡くなった後その遺言書を見たとのことでした。そこには、「すべての財産を長男立花正英に相続させる」と書いてあったのです。正英さんによると父親は、昔は田畑や山林を所有しており、都市化のおかげで大地主になったとのことでした。父親は誰にも相談しないで遺言書を作成したと見られ、昔ながらの考えで長男にすべてを引き継いでもらうつもりで遺言書を作成したのではないかとのことでした。この遺言書を見て正英さんはとても困った問題に直面します。知り合いの税理士に相談すると、この遺言書通りに相続してしまうと、すごい金額の相続税が自分にかかってしまうことが分かったのです。(理由は相続税の控除額が配偶者である母親には多く、子供である正英さんには少ないからです。)とてもサラリーマンの自分では払いきれないし、かといって親から引き継いだ土地を売却することも忍びないので、出来るだけ残せるようにと考えたのです。父親は、自分がそんなにたくさんの財産を持っていると認識せず、先祖代々受け継いできた土地だから、次は長男にと考えただけだと思われます。しかし、それが、立花家の財産を危機に陥れることになるとは夢にも思わなかったことでしょう。
税理士と相談して、遺言書は使わずに、相続人全員による遺産分割協議により節税する方法を選びました。幸いにも母親が元気であったので、配偶者に多くを相続させて出来るだけ相続税を少なくするようにして、母親が亡くなるまでに相続税対策を十分に取ることにしたのです。それには相続人全員が賛成してくれたので何とかこの問題をクリアすることができました。

 

このように、財産の価値や形態、相続税対策の有無などを考えたうえで遺言書は作成することが大事です。
税務については税理士等をご紹介できますし、場合によっては弁護士もご紹介できますので必要な時には当事務所へお問い合わせください。