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2017年6月15日
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【相続コラム 2017.6】司法書士藤井真司事務所 発行
毎年くる梅雨はジメジメして、蒸し暑いので体調管理が難しい季節ですね。しかし、福岡は雨の日が十分にないと夏になって水が不足する事態にもなりやすい都市ですので、この時期に十分に雨が降ると、安心して夏から以降を過ごせます。今年は、梅雨入りは少し遅かったようですが、入った途端晴れているようで、雨の量が心配になってきます。どうか「適量に」雨が降りますように・・・
遺言書を作成するのにも手続きが必要ですが、一番大事なのは作成者本人の意思です。これが困難だと作成そのものが出来ません。以下に、最近の高齢化社会に際しての典型的な事例をご紹介します。
今回の事例は10年前のことをお話ししたいと思います。遺言書作成の依頼主は柿山美智子さん(仮名・70歳)。その内容は、夫の敦さん(仮名・83歳)の認知症が少しずつ進行しているため、この際遺言書を作成したいとのことでした。ご夫婦の一人息子さんは不慮の事故で亡くなられており、このままだと法定相続人は、奥様とご主人の疎遠な兄弟となってしまいます。そのことから、ご主人が死んだ後のことを考えて、依頼者が静かに暮らせるようにと、この度の遺言書作成を決断されたのでした。
実際に敦さんとお会いして、感じたことは、確かに認知症を患ってはいらっしゃいますが、緊急を要するほどでもないというのが、私の第一印象でした。比較的しっかりしておられたと記憶しています。ただし、敦さんは最近、他の病気の影響で、発語が不自由となり、美智子さんが「リハビリのため、言葉の練習をさせています。」と言われました。私は、緊急を要さないのと、氏名・住所・生年月日と「全ての財産を妻に相続させる」との簡単な内容でもあり、敦さんも内容はよく理解しているようでしたので、焦らせることもないだろうと、私は、「夫婦でごゆっくり、リハビリを楽しんでください」と言い残して、適当なところで奥様より連絡があるだろうと思って、暫くこちらからは連絡を取らなかったのです。
それから、数週間が経ったある日、美智子さんから連絡があり、「最近、主人の認知症が進んできているみたいなので、遺言書作成を急ぎたい」とのこと。すぐに私はご自宅に伺い、敦さんと話してみると反応が以前と明らかに違いました。「数週間でこんなにも病状が変化するなんて・・・」と大変驚きました。奥様に、すぐに遺言書作成の手配をすることを告げて、この日は帰りました。
翌日、公証人に無理を言って、最短で遺言書が作れる日程を打ち合わせました。幸い、2日後には予定が取れるとのこと。すぐに、その予定で敦さんの自宅に行く準備をして、出張での公正証書による遺言書作成を行い、無事に作成することが出来ました。しかし、この時面談した公証人からは、「遺言書の意思確認としてはギリギリでしたね」と言われてしまいました。
高齢者で、病気を持っておられて、認知症が若干でもある方は、なるべく早い対処が必要な例でした。数日で本人の状況が変わることがあるということです。思い立ったら、出来るだけ早く実行するのは遺言書作成にもあてはまりますね。
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