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2017年10月16日

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【相続コラム 2017.10】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

足早に季節は変わり、もう10月です。今年は、水害の地域があり、暑い夏で残暑も厳しく、そして長く続いていましたが、ここ最近はすっかり秋の気配に変わり、朝晩は肌寒いほどに冷え込むことが多くなりました。寒暖差が激しいので、体調には気をつけて過ごしましょう。
秋晴れの夜は月がきれいですね。中秋の名月は、今年は10月4日とのこと・・・。このような美しい月を愛でる文化も日本独特の様な気がします。ゆっくりと月を眺めながら、悠久の時を思うとき、人間の営みの中で、必ず次世代に繋がなければならない場面があることを考えます。それこそが「相続」ではないでしょうか。流れゆく季節の中で、「相続」をちょっとだけ考えてみませんか・・・

見出し
今日の相談者は、君嶋満寿男さん(仮名・45歳)です。3か月ほど前にお父様が他界されて、遺言書があるので、不動産の名義を書き換えてほしいといらっしゃいました。遺言書による所有権移転登記については、日頃から遺言書の作成のお手伝いや遺言執行者の就任、遺言執行等々をやった後に、不動産を所有する場合は必ずする手続きですので、特に珍しいものではありません。なぜ、このコラムに掲載したかと言うと・・・ちょっと「良い話」があったからです。遺言書を多く拝見する私たちは、その多くが遺産をどのように分けるかということだけを書いてあるものばかりです。確かに、実際上は遺産の分け方が問題の中心ですので、どうしてもそのことだけに焦点が当たってというか、それだけに当ててしまっています。この君嶋さんの依頼で渡された遺言書には、普通は見ることが少ない言葉が書いてありました。それは・・・遺される人々への感謝や労いそして遺された人に対する希望が入っていたのです。
この遺言書は、当然、遺産の分け方も書いてありますので、それを忠実に不動産の登記に反映させましたが、最後に述べられていた本人の言葉に、暫しの感動を覚えました。他人である私が感動する位ですので、遺族の方々はどれだけ感慨深いものだったか想像に難くないでしょう。ご来所された君嶋さんは、お父さんの最後の言葉通りの処分を望まれ、また、強い本人の意思に遺族全員が一つになれたとおっしゃいました。死後の手続き等が厳かにそして恙無く執り行われ、遺族の全員が満足した顔であったとのことでした。遺産の分け方については、他人の私が見ても、とても平等とは言えませんでしたが、それでも、なんの争いもなく進んで、最後に不動産の手続きに当事務所に来られたのです。
しっかりと想いが次の世代に伝わった一例ですが、是非、遺言書を書く機会があったら、遺された人にしっかりと気持ちを伝えられるように、自分の意思と感謝と希望を表明されるといいのではないかと思った次第です。それが、きちんと伝わったときは、本人の一番望む形になることでしょう。そして、遺された人々の悲しい気持ちを晴れやかなものに変えていくに違いありません。是非、気持ちも一緒に遺しませんか?

ここでちょっと豆知識