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2019年5月9日

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【相続コラム 2019.5】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

今月から元号が「平成」から「令和」に代わりました。4月に新元号が発表されてお祭りのような感じでしたが、実際に「令和」に切り替わった後はどのような気分になるのでしょう。日常生活に大きく関係する新元号に目を奪われがちですが、5月1日は新天皇の即位の日でもあります。新緑の力強い季節に新しい天皇が即位して、新しい時代が始まると考えると、少し気持ちが張りつめる気がします。
時代が移り変わって行くことは、自然の中で生きている人もやがて死んで次の世代の人に移り変わること・・・その繋ぎ目が「相続」だと思います。何を遺し、そして何を遺さない(遺せない)かは、その人それぞれですが、これを機に相続について考えてみませんか。

見出し

この度の改正で、遺産分割前に遺産の預金について払い戻し(仮払い)を受けられるようになりました。
かつては、可分債権である預金債権は、遺産分割の対象とならずに、相続人はその相続分について銀行等の金融機関にその払い戻しの請求ができると考えられていました。ただし、金融機関の実務での対応は、相続人全員の同意がなければ払い戻しができないようにしていました。これは、相続人に対する二重払いのリスクを避けるためであったと言われています。この改正前に最高裁の判決で、可分債権も遺産分割の対象になるとの判断が出たので、実務の対応と合わせた法律判断となったために、預金債権の払い戻しについてはその点についての疑義はなくなりましたが、この度法律の改正により、よりはっきりとなりました。
改正法では、遺産の預金については、遺産分割前の払い戻し(仮払い)が認められるようになりました。銀行実務でも、遺産の預金については葬儀費用などはその領収書等を提示すれば、遺産分割前にも払い戻しが行われていましたが、これはお客様(預金者)の要望に応える形で実務的に行われていたことです。法律上の保護があるわけでなかったので、金融機関によっては払い戻しできる金額にばらつきがあったと思います。この度の改正で次の内容で払い戻しできるようになりました。
相続開始時の預貯金債権の額(預貯金残高)×1/3×仮払いも求める相続人の法定相続分
いわば、遺産預金のうち、法定相続分の3分の1を払い戻すことができるようになりました。これは、各金融機関ごとに払い戻しが上記計算式でできることは注意してください。
これで、遺産分割に時間がかかってしまう方が、急いで必要なお金を調達したい場合に使えると思います。したがって、従来、金融機関の配慮により行われていた葬儀費用の仮払いのような方法はなくなるかもしれませんが、支払先を指定しなくても払い戻しができるので、その判断をしなくていいのはやりやすいのではないでしょうか。

ここでちょっと豆知識