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2020年4月2日

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【相続コラム 2020.4】司法書士藤井真司事務所 発行

タイトル

今年は世界で新型コロナウイルスが流行しています。新年度にいろいろと予定されている行事もほとんど中止か延期され、経済活動にも大きな支障が出てきています。各地で咲き誇る桜も、それを愛でる余裕はないのが実情のようです。日本はしばらくの間は感染が広がるのを防いでいるように見えていましたが、今月からは大きく感染者が増える可能性が高いとして、不要不急の外出の自粛を各都道府県で呼びかけているところもあるようです。福岡県も呼びかけがありました。政府がどのような対策を取ろうとも、それを国民一人一人がしっかりと実行に移さなければ効果はないのと、特に見えないウイルスとの戦いは、最高レベルの緊張感も必要だと思います。どんな人でも重症化するとあっという間に命に係わることになる病気の様ですので、ここ数か月は大変だとは思いますが、緊張感を持って感染予防に気をつけましょう。
さて、“相続について考える”きっかけになればと思って続けていますこのコラムですが、久しぶりに当事務所での経験事例を取り上げたいと思います。

 

見出し

加藤幸男さん(67歳・仮名)は、父親が所有する不動産の相続について、当事務所にその手続きの依頼に来られました。不動産の名義は父親で、父親が亡くなった後、最近母親が亡くなったので、兄弟で話し合って自分の名義にすることになったということでした。持参された資料の中には両親が亡くなった戸籍しかなかったので、相続人であるご自身と弟さんの戸籍等を用意してもらうことと、ご両親の出生から死亡までの戸籍は当事務所に依頼するとして委任状を書いてもらいました。登記名義人が亡くなり、その配偶者が亡くなった後相続登記の依頼があることは珍しくありません。むしろその方が多いとも言えます。その時は皆さんが考えているとおりの相続人であることが多いのも事実です。しかし、ご依頼に基づいていくつかの戸籍を取ってみると、亡くなった奥様は後妻で、一度離婚して再婚されていました。それに、後妻であるお母さんは、前妻の子供である加藤さん兄弟を養子にしてなくて、法律上は子供がいないことがわかりました。それから子供さんは兄弟二人だと聞いていましたが、一人亡くなっている子供さんがいることが分かりました。このことを加藤さんに確認すると、確かに亡くなった母は後妻で、長男は結婚して数年で離婚し、その後死亡していたとのこと。長男には子供が1人いたが養子に出しているとのことでした。相続人を確定させるために戸籍を取りそろえると、結局加藤さん兄弟以外にお母さんの兄弟姉妹及び亡くなっている長男の子供となりました。お母さんの兄弟姉妹は高齢で何人かは亡くなってましたので、その子供(加藤さんから見れば従姉妹的な方)に相続権があり、総勢15人にも上りました。当事務所で各相続人の住所を調べて、加藤さんは大変苦労されて、数年かかりましたが、幸運にもすべての相続人から了承を取り付けて、名義を加藤さんにすることが出来ました。もし、父親が遺言書を書こうと考えて専門家に相談したなら、この度の相続関係が分かり、もっと簡単な相続手続きが可能になると思われます。
このように、亡くなった人だけでなく、相続人の中に離婚・再婚・死亡・認知・養子縁組等がある場合は、相続関係が複雑になることがありますので、なるべく早いうちに手を打っておく必要があります。特に遺言書は効果的なことがありますので、十分検討するに値します。亡くなってからではなく、そして認知症などを発症する前の早いうちに専門家に相談して、相続時のトラブルを回避しましょう。

 

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